2016 December

 

 

   
 
 
ソルフェージュとは西洋音楽の楽譜を読む基礎訓練のこと、子供の頃楽しく遊び ながら習ったことを思い出す。今もクリスマスやイースターのコンサー トには 必ず伺っている。主宰のY氏から素敵なクリスマスのCD、Y氏がチェロの奏者 という事もあってチェロの曲が中心の珍しいクリスマス・コレク ション。

 

 

 
 
 
 
 
ポンピドーセンターでマグリットの大回顧展を見る。ベルギー人のRene Francois Magritte(1898-1967)の作品はおなじみの空中に浮かぶ岩、鳥の形に 切り抜かれた空、指の生えた靴と言った不可思議なイメージと付けられ た題名 ともども見る人を戸惑わせ、考え込ませずにはいられない。生い立ちから影響を 受けた絵画、立体作品までを網羅した大回顧展。

 

 

 
 
いつぞやのダリ展なみに長い待ち時間と聞いていたけれど、さすがにクリスマス 明けとあって待たずに入れる。それでもタイヘンな人・・・。マグリッ トの生 い立ちを知る写真や、ベルギー時代の裕福なご家族のポートレート、高校の同級 生と結婚し生涯添い遂げたというマグリットのオリジンを知るよ うな写真の数々。

 

 

 
 
 
マグリットの絵画は彼自身が言う「目に見える思考」であり、世界が本来持って いる神秘や不思議をイメージとして具現化したものだと言う。「言葉と イメー ジ」を追及したマグリットの作品はミッシェル・フーコーなどの思想家、広告や グラフィックアートの世界にも影響がみられ、アートの分野だけ に留まらず 20世紀の文化全般にも大きな影響を与えたという。

 

 

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几帳面だったというマグリット、アイディアスケッチなども興味深い。「波乱や 奇行とは無縁の平凡な生涯であったシュールレアリスト」と言われるけ れ ど・・・。幼馴染の妻と生涯連れ添い、ブリュッセルの3LDKのつましいアパ ルトマンに住み、ポメラニアンを飼うというどこまでも典型的な小市 民が、世 界的なシュールレアリストだということが正にシュールだと思う。

 

 

     
 
 
自分のアトリエを持たず台所の片隅にイーゼルを立てて制作し、きれい好 きな 彼 らしく服を汚したり床に絵の具をこぼしたりすることもなかったとい う。待 ち 合わせの時間には遅れずに現れ、夜10時には就寝すると言う、世間の持つ 世界 的なアーティストのイメージとはおよそかけ離れたマグリット の生活。パ リ時 代にはシュールレアリスム運動の理論的指導者であったアンドレ・ブルト ンを気 が合わなかったというのも何となく頷ける。

 

 

 
 
 
最近はパリでもスマートフォンの普及で、展覧会でも撮影不可、という事は殆どなく、作品はおろか自撮り棒で「作品と自分」と言う新たな写真作品を制作する人も・・・。 実際に絵画を見るより「撮る」コトに夢中で、横から見るこの光景こそ「現代の肖像」という感じ。

 

 

   
 
 
 
ポンピドーセンターに写真のギャラリーがオープンして久しく、いつも大変興味 深い企画展。ハンガリー出身のBRASSAI(1899-1984) のグラフティ展。 日本でもフランスでも「ブラッサイ」と発音するけれど、コレは出身の村の名前 を形容詞にして名乗ったもので「ブラッシャイ」が正 式のよう。ヘンリー・ミ ラーヤピカソ、ジャコメッティやマティスと同時代の華やかな親交の中から生ま れた作品も多い。街角に残された落書きもブ ラッサイの陰影のあるモノクロー ムの写真になると何かオブジェのような無言のメッセージ。

 

 

   
 
 
 
 
「ART ET LIBERETE」展、戦時中にエジプトで展開されたシュールレアリズムの 展覧会。エジプトロジー、古代エジプトの考古学が盛んなパリ、ナポレ オンの 時代から延々とエジプトからモノを運んだ歴史からくるのか。戦時中のエジプト でこのような作品が生まれていることにも驚くけれど、その キューレーション をするスペシャリストの存在にも驚く。大変な数の作品数を世界中から集めてき た大規模な展覧会。

 

 

   
 
 
 
ポンピドーセンターに来ると、大きな企画展以外にもさまざまに興味深い展覧 会。メザニンの広いギャラリーで「JEAN-LUC MOULENE」展を見る。1955年生 まれのフランス人、パリの主要美術館には必ず収蔵品があるけれど、これほど大 きな展覧会を見るのは初めて。フラッ トなリノリウムの床の会場に、同じよう な質感の形の違うオブジェが高低無く並んでいるのはなかなか圧巻、その配置図 も面白い。

 

 

 
 
 
毎年楽しみにしている「PRIX MARCEL DUCHAMPS」マルセ ル・デュシャン賞。今年は珍しく4人(組)のアーティストが選ばれる。 真紅 の壁に巨大な壷が並ぶ「BERATHELEMYTOGUO」の作品。

 

 

   
 
 
映像作品の「KADER ATTIA」は何ともシュールな作品。

 

 

 
 
真っ白いインスタレーションは「ULLA VONBRANDENBURG」の 作品、登ったり座ったり出来るインタラクティブなインスタレーショ ン。

 

 

 
 
なんともシュールな作品が暗闇に浮かびあがる「YTO BARRADA」の作 品・・・。

 

 

 
 
 

 

 

 
 
 
クリスマスの午後はサンジェルマン・デ・プレ教会のチャリティーコンサートに 行く。コンサートと言っても、教会を見学する観光客、、お祈りを捧げ る人、 蝋燭を灯して小声で語り合う若者たち、皆が思いおもいの形でコンサートを楽し みその気持ちを寄付する。こんな自由な雰囲気こそがサンジェル マン・デ・プ レ・・・。パイプオルガンの音が教会中にこだまして何とも言えないホーリーな 気分になる素敵なクリスマスコンサート。

 

 

 
 
 
パリの中心、かつては中央市場があったところにランド・マークとして出来た巨 大ショッピングセンターとメトロ・郊外線の乗り入れた再開発地区レ・ アー ル、1985頃ポールシュメトフによって建設された施設も老朽化からか、 2003年には新しい建物のコンペが実施され最終的に2007年にこ のパト リック・ベルジェ案に決定されたとか。パリのコンペについて書くと、延々と白 紙に戻り云々が続く。とにかく出来上がって良かった!そして きっと延々に出 来上がらないのかも知れない。夕闇にイルミネーションが描く巨大な宇宙船のア ウトライン・・・。

 

 

     
 
 
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